意と匠研究所

vol.7 ポップでグロテスクな南国の果物!?

2019年8月12日

 まるで南国の果物を思わせる「花⇄果実」シリーズと、壁掛けの丸い物体「ボタニカルファイヤーワークス」シリーズ。セラミックアーティストの栗原香織がレベラションで発表した2つのシリーズ作品は、いずれもカラフルで、ポップで、かわいらしい印象を受けるが、よく見るとグロテスクにも映る。なぜならどの表皮もさまざまな模様の生々しい突起物に覆われていて、異様な存在感を放っているからだ。それだけ非常に手の込んだ作品であることもうかがえる。さらに果物からは芽がニョキニョキと生え出て、その先に蕾や新たな実を付けようとしている。人間には抑えられない、命ある植物の何か意思すらも感じられる。

 栗原氏は作品づくりについて「作品に魂をどう込めるかが最も大事」と断言する。彼女が陶芸と出合ったのは、高校生の時。その後、京都精華大学の陶芸専攻でセラミックアートを学び、渡仏。パリではジュエリー学校に通い、さらに作家としての腕と感性を磨いた。レベラションを主催するフランス工芸作家組合(Ateliers d’Art de France)の新人賞に選ばれ、その副賞として2015年にレベラション出展の機会を与えられたことが、今に至るきっかけとなった。

 以後、レベラションに毎回出展し続けてきた。「レベラションは工芸界ではトップレベルのサロン。いろいろな人に作品を見てもらえ、作家としてどうあるべきかを学べる」と話す。特に栗原氏を勇気づけたのは、陶芸家でフランスの人間国宝のジャン・ジレル氏から意見をもらえたことだった。

 「工芸の枠に捉われず、自由に創作できる点が、フランスの工芸の良いところ。これまでフランスでは工芸よりアートの方が高く評価されてきたが、今は工芸が見直されてきている。でも実際に創作する際に、工芸かアートかどちらに属しているのかを私は問題にしない。素材の土をより深く知り、土だからこそ実現できる作品を突き詰めたい」と栗原氏。主に個人コレクターやギャラリーオーナーらが購入していくと言う。(杉江あこ)

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