意と匠研究所

vol.1 欧州を中心に勢いを増すファインクラフト運動

2019年6月10日

フランス工芸作家組合(Ateliers d’Art de France)が主催する新たな工芸の展示・商談会「REVELATIONS(レベラション) 2019」が2017年に続いて仏パリで開催された。レベラションは2013年に初めて開催され、隔年開催のため、今年で4回目を迎えた。欧州を中心に勢いを増す新工芸運動「ファインクラフト」の中核イベントとして、世界中の注目を集めている。日本の工芸事業にとっても無視できないイベントに成長しつつある。

そこで、今回から、レベラション2019やその周辺の動きから見えたファインクラフトの最前線とその価値や課題について、数回に分けてリポートすることにした。日本の工芸事業者やデザイナー、建築家、アーティスト、プロデューサーの方々に未来をつかむヒントになれば幸いである。

ファインクラフトを一口に言えば、「工芸事業者によるアート運動」。デザイナーと組んでプロダクトに近い商品開発を行う既存の事業とは異なり、狙うのはアート市場だ。素材の持ち味をあくまで生かしながら、アートとして鑑賞に耐える作品を世に問うのである。個人のアートコレクターやギャラリー、自身のクリエーションの一部となるアートを求める建築家やインテリアデザイナーらが主な顧客であり、レベラションの主な来場者も同様である。

レベラション2019は、今年もパリの中心部に位置するギャラリー「グラン・パレ」で開催された。主催者発表で、出展者数は33カ国から約500組。来場者数は3万7522人(5月23日から26日までの4日間)。2017年は、16カ国380組で、来場者数約4万5000人(5月3日から8日までの6日間)だったので、イベントとしての成長が見られる。(下川一哉)

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